視覚をより深く理解する
2020.07.01
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哺乳類は約2億年前に爬虫類から分かれた。その頃、地球は恐竜の全盛期だった。恐竜は昼間に行動し、視覚に依存した生活をしていたと推定される.一方、哺乳類の祖先である哺乳類様爬虫類は恐竜の時代に出現し、体も小さく大きな爬虫類に太刀打ちできるような力を持っていなかった。そこで彼らは、恐竜達が行動しない夜間に行動することによってかろうじて生き延びていた。夜間行動することによって重要になったのは聴覚と嗅覚である。大きな爬虫類に比べて視覚の比重はこの時期の哺乳類では減少した.哺乳類の聴覚器官は爬虫類にはない構造を獲得した.爬虫類では鐙(あぶみ)骨1つであった耳小骨が,哺乳類では,砧(きぬた)骨と槌(つち)骨を加え3つになった.さらに鼓膜は外耳道の奥に移動し,微妙な音を聴くことが可能になった.夜行生活への適応と聴覚情報処理の発達が初期の哺乳類の大脳皮質の拡大の要因となったと推定される.