「身体の運転」うまい・ヘタ
私の勤務校には、車いすを生活の足として使用している児童・生徒が数多く通っています。
電動車いすを巧に操り、机と机の狭い間を上手にすり抜けていく子どももいれば、自分の手で車いすをこいでいるのに、目測が合わずに机にぶつかってしまう子どももいます。
大人でも自動車の運転が上手な人もいれば、縦列駐車なんて絶対にできないという人、なかなか右折のタイミングが計れず、交差点で曲がれない人もいます。
車いすにしても、自動車にしても、車体の幅や長さの感覚がよく分かっている人は、自分のイメージ通りに運転できますし、車体感覚がぼんやりとしている人は、通れると思っていたのにぶつかってしまうことがしばしばです。
実は、人間の身体に関しても同じことが言えます。
着替えがうまくできず、Tシャツの首の場所から手が出てきたり、ジャングルジムで頭をぶつけたり、縄跳びで跳ぶタイミングがつかめなかったり、サッカーで転がってくるボールを蹴ろうと空振りしたりする姿と重なります。
「自分の身体に対する実感」のことを「ボディイメージ(身体意識)」といいます。
正にボディイメージとは読んで字のごとくですが、視覚的なイメージというより、もっと「生理的・身体的な自己像」のことをいいます。「体の輪郭のイメージ」、「手足」の状態、「姿勢の軸」などのイメージです。
このボディイメージが育つと、自分の身体を、自分の思ったように、自由に動かせる力となります。
ボディイメージの形成=初期感覚の統合
では、ボディイメージを育てるにはどのようなことが必要でしょうか。
それは、自分の身体の隅々に意識が向いていくことが大切です。そこで、身体の隅々に意識が向くための要素として、初期感覚と呼ばれる3つの感覚を育てていくことが重要になります。
実はこの能力がROMなどにも関係してきます。
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