
脊椎のずれ(捻れ)を評価するための方法について解説していきます。
脊椎運動の三原則 まずは脊椎を触知していく前に、脊椎運動の三原則について理解しておくことが大切です。
この原則を知っておくことにより、正常な動きを阻害している筋肉がどこにあるかを特定することができるようになります。
原則 1 脊椎が中間位では、回旋と側屈は反対方向に起こる
原則 2 脊椎が屈曲位または伸展位では、回旋と側屈は同一方向に起こる
原則 3 脊椎が屈曲位または伸展位では、回旋と側屈の可動域が減少する
脊椎体性機能障害のタイプ 次は障害されている筋肉が表層筋か深層筋かを特定するために、それぞれのタイプの特徴について理解しておく必要があります。
タイプⅠは表層筋(脊柱起立筋群)が障害されている状態であり、複数の脊椎分節にわたって走行しているため関連する椎骨の数は三つ以上になります。
タイプⅡは深層筋(多裂筋、回旋筋、横突間筋)が障害されている状態であり、 基本的には脊椎分節間のみを連結しているため、関連する椎骨の数は二つになります。

回旋側屈の連動について
正常ならば脊椎の屈曲位または伸展位での回旋側屈の連動は同一方向になりますが、タイプⅠの障害である場合は同一とはなりません。(原則 2 に反 する)
これは、凹側の脊柱起立筋群が過緊張にあるため、常に緊張側への回旋方向の力が働いているからです。
そのため、反対側に側屈した際にうまく連動できず、同一方向に動かないといった問題が発生することになります。
タイプⅡの障害である場合は、分節間に限局した過緊張がみられ、回旋と側屈が反対方向に捻れた脊椎のズレが認められます。(原則 1 の強調)
これは、多裂筋の作用が脊柱の伸展・回旋(反対側)・側屈(同側)といった方向に働くことが影響しています。
反対に脊柱起立筋群では、回旋と側屈は同一方向に働くことになるため、タイプⅠでは捻れずに傾いたような状態となります。
脊椎が屈曲位または伸展位では、回旋と側屈の可動域が減少するため、タ Ⅱが疑われる場合は脊椎を屈伸させて捻れの変化を確認します。(原則 3 の利用)
脊椎の体性機能障害の評価
脊椎の体性機能障害を評価するには、まずは棘突起の位置を確認し、その外側部にて傍脊柱筋を触知しながら組織質感の異常を探していきます。
滑りやすさや湿り感、筋緊張、押圧時の質感変化、圧痛の有無などを手指で確認していきながら全体をみていきます。
例えば、その際に局所的な筋緊張の亢進が認められた場合、分節間での異常が疑われるため、タイプⅡの体性機能障害が疑われます。
タイプⅡの体勢機能障害を評価するには、横突起を探して脊椎の捻れを触知し、体幹屈曲時に横突起がどのように動くかを確認します。
続いて脊椎を伸展させて、同様に横突起がどのうような動きをするかを確認します。
その際に片方だけが突出しているかなどの非対称性をみていきます。
捻れがあることを確認したら、ここの脊椎が何番目にあるかをチェックして障害部位を確定します。
脊椎の捻じれについて写真で解説


上記の写真のケースでは、逆 S 字の脊椎カーブが認められ、腰椎に左凸側彎があるために、骨盤は左側に傾斜した状態となっていました。
脊椎が中間位では回旋と側屈は反対方向に起こるので、黄色い●の部分は脊椎が右回旋している可能性が考えられます。
実際に触診してみると右側の横突起が若干ですが後方に突出しているのを確認できたため、右回旋が生じていると推察されます。
体幹前屈位にて左右差を確認すると、腰椎部で左側の背筋群に隆起が認められたため、やはり側彎にて筋肉が伸張(過緊張)されていることがわかります。
体幹の捻れを簡単に見分ける方法として、背部から手の甲の位置を確認し、捻れている側はより甲が多く見えるようになります。
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